デジタルサイネージや業務用ディスプレイ市場において、SHARP(シャープ)の「PNシリーズ」は高い信頼性と豊富なラインナップで多くの企業・施設に採用されています。しかし、「PN-V602A」「PN-V605H」「PN-HM651」といった型番を見ても、その違いや特徴が分からないという声をよく耳にします。
本記事では、SHARPの業務用インフォメーションディスプレイの型番命名規則を詳細に解説。各アルファベットや数字が示す意味を理解することで、製品選定がスムーズになり、用途に最適なモデルを見つけやすくなります。
目次
SHARP業務用ディスプレイ型番の基本構造
プレフィックス | シリーズ記号 | 画面サイズ・世代 | サフィックス |
PN | V | 602 | A |
この構造を理解することで、型番を見ただけで製品の基本特性が把握できるようになります。
1. プレフィックス「PN-」が示すもの
業務用ディスプレイの証
型番の先頭に付く「PN-」は、SHARP業務用インフォメーションディスプレイ(デジタルサイネージ向けディスプレイ)を示す共通プレフィックスです。これは家庭用テレビのAQUOSシリーズ(「LC-」で始まる型番)と明確に区別するためのもので、業務用途向け製品であることを一目で判別できます。
命名の由来
「PN」はProfessional Network DisplayやPublic Information Displayの略称とされ、ネットワーク機能を搭載した業務用ディスプレイであることを意味しています。実際、SHARP公式サイトの製品リストでも、PNから始まる型番が業務用ディスプレイとして統一的に使用されています。
例外的なケース
近年登場した8K対応の超高精細モデルでは「8M-B」という別プレフィックスも使用されていますが、一般的な業務用ディスプレイの99%以上は「PN-」で始まります。
2. シリーズ記号の詳細解説
🎯 現行主力シリーズ一覧
シリーズ | 用途 (キーワード) | 主な特徴 | 代表モデル |
---|---|---|---|
V | ビデオウォール | 超狭額縁 / タイリング特化 / 4K対応モデルあり | PN-V605H |
P | 屋外・高輝度サイネージ | 700 cd/m²クラス高輝度 / 24h稼働 / 4K標準 | PN-P556 / PN-P656 |
M | 屋内スタンダード | 550 cd/m²前後 / 4K標準 / コスパ重視 | PN-M652 / PN-M552 |
HM | Androidスマートサイネージ | Android OS内蔵 / 内蔵メディアプレーヤー / 4K | PN-HM651 / PN-HM751 |
📈 サイズ別展開シリーズ一覧
シリーズ | サイズ帯 | 輝度・特徴 | 代表モデル |
---|---|---|---|
HS | 65–85V型 | 高輝度(600 cd/m²クラス) / 4K | — |
HY | 65–85V型 | 標準輝度(450 cd/m²程度) / 4K | — |
HB | 65–85V型 | 省電力(350 cd/m²) / 16h運用想定 / 4K | — |
旧世代シリーズ(R・E・Yなど)は参考情報として末尾でまとめています。
3. 数字部分の読み方
画面サイズの識別方法
数字の頭部分 | 対応画面サイズ | 代表例 |
---|---|---|
32x | 32V型 | PN-Y326B |
43x | 43V型 | PN-M432 |
55x | 55V型 | PN-P556 |
60x | 60V型 | PN-V605H |
65x | 65V型 | PN-HM651 |
70x | 70V型 | PN-V701 |
75x | 75V型 | PN-HM751 |
85x | 85V型 | PN-HM851 |
世代・バージョンの識別方法
- PN-V601 → 60インチVシリーズ第1世代
- PN-V602 → 60インチVシリーズ第2世代
- PN-V605H → 60インチVシリーズ第5世代(4K対応特別仕様)
基本的に数字が大きいほど新しいモデルと考えて問題ありません。
4. サフィックス(末尾文字)の意味
アルファベット順サフィックス(A、B、C…)
- PN-V602 → 標準モデル
- PN-V602A → V602の改良版
- PN-Y326B → Y326の2回目改良版
アルファベットが進むほど新しい改良版で、パネル品質の向上や機能追加が行われています。
特別仕様サフィックス
- 「H」 – 高性能・4K対応モデル(例: PN-V605H)
- 過去には「R」(リモコン受光部仕様違い)や「C」(保護ガラス有無)なども存在。
実例で理解する型番の読み方
PN- : 業務用ディスプレイ
V : ビデオウォール用シリーズ
602 : 60V型・第2世代
A : 改良版
結論: 60インチのビデオウォール用ディスプレイ(第2世代改良モデル)
PN- : 業務用ディスプレイ
V : ビデオウォール用シリーズ
605 : 60V型・第5世代
H : 4K高精細仕様
結論: 60インチの4K対応ビデオウォール用ディスプレイ
PN- : 業務用ディスプレイ
HM : Android内蔵4Kスマートサイネージシリーズ
651 : 65V型・第1世代
結論: 65インチのAndroid内蔵4Kスマートサイネージ
用途別おすすめシリーズ早見表
用途 | 推奨シリーズ | 主な理由 |
---|---|---|
🏢 オフィス・会議室 | Mシリーズ (PN-M552/M652) | コストと性能のバランス |
🏪 店頭・ショーウィンドウ | Pシリーズ (PN-P556/P656) | 高輝度で視認性◎ |
🎪 イベント・展示会 | Vシリーズ (PN-V605H) | ビデオウォール構築に最適 |
🏫 学校・公共施設 | HMシリーズ (PN-HM651) | PC不要・運用簡単 |
旧世代シリーズ(参考)
シリーズ | 世代 | ポジション | 備考 |
---|---|---|---|
R | フルHD期 | 旧フラッグシップ | 現在はPシリーズへ移行 |
E | フルHD期 | 旧スタンダード | 現在はMシリーズへ移行 |
Y | フルHD期 | 旧エントリー | 後継シリーズへ統合 |
まとめ
SHARPの業務用ディスプレイ型番は、一見複雑に見えますが、体系的なルールに基づいて構成されています。型番の読み方を理解することで:
✅ 製品の基本性能が瞬時に把握できる
✅ 用途に最適なシリーズが選択しやすくなる
✅ 新旧モデルの関係性が理解できる
✅ 価格帯の目安が推測できる
デジタルサイネージの導入を検討している方は、まず用途を明確にし、それに適したシリーズから画面サイズを選択するというアプローチがおすすめです。型番の命名規則を理解することで、より効率的な製品選定が可能になるでしょう。
本記事の情報は2024年時点のSHARP公式資料およびプレスリリースに基づいています。最新の製品情報については、SHARP公式サイトをご確認ください。🔗公式サイト:SHARP